ドクター

ドクター

親知らずはどうして抜く必要があるのか?を西明石の歯医者「のむらファミリー歯科」が解説します。

 親知らずの痛みや腫れで困った経験をされた方もたくさんいらっしゃると思います。

 その時になって初めて親知らずを抜くかどうかを検討する事が多いと思います。

親知らずがどのような悪さをするのかというと以下の事が考えられます。

①親知らずそのものがむし歯

②親知らず周囲の炎症

③親知らずの周りにできる嚢胞(含歯性嚢胞)

④親知らずの周囲の炎症が重症化した蜂窩織炎の病態

⑤隣接する歯牙(第二大臼歯)への影響(歯根吸収や萌出障害など)

それぞれ一つ一つ詳しく解説していきます。

一つ目は親知らずそのものが痛みを伴うケースです。これは親知らずがう蝕に罹患して歯髄炎(うずくような痛み)が出たり、親知らずが歯ぐきから少しだけ顔を出しているために歯冠全体がみがけずに歯肉に限局した炎症が起きるために痛みがでるケースが考えられます。親知らずの痛みで一番多くみられる状態かと思います。

次に紹介するのが親知らずの周りの歯茎の炎症が重症化し、周囲皮下組織やリンパ節へと炎症が波及していく事も多くみられます。これは親知らずの周囲歯肉の限局した炎症が何度か繰り返された後に炎症が重症化して蜂窩織炎という状態になる事を言います。このような場合は飲み薬の抗生剤だけでは消炎させる事ができない事も多く、点滴治療が必要になったり、場合によっては呼吸苦がでてくるような場合は皮膚を切開して消炎をしないといけない場合もあります。かなり注意が必要な病態です。

次に紹介する病態としては親知らずの歯冠部周囲に透過像が形成される含歯性嚢胞という病態があります。これは上の図に示すようなパノラマX線を撮影した場合にたまたま発見される事が多いかと思います。含歯性嚢胞は放置すると嚢胞が徐々に大きくなるケースがほとんどですので、親知らずと共に摘出術が必要になります。

次に紹介するのは親知らずの手前の歯(第二大臼歯)がむし歯になってしまうケースです。これは親知らずが斜めに埋まっている為に第二大臼歯と親知らずの間に長期間に渡って汚れ(プラーク)が停滞するために第二大臼歯の遠心側(後ろ側)に深いむし歯を作ってしまいます。この場合は親知らずを抜歯した後に、第二大臼歯のむし歯の治療が必要になります。この手のむし歯は歯髄(神経の入っているお部屋)までう蝕が進行しているケースが多く、抜髄(神経を抜く治療)が必要になるケースがほとんどです。このような病態を作る前に抜歯をしておく事が重要になります。

最後に紹介するのが、親知らずの影響で第二大臼歯(12歳臼歯)の歯根が吸収を来したり、第二大臼歯の萌出障害を来したりするケースがみられます。このような病態を回避する為には9歳ごろよりパノラマX線を定期的に撮影し、親知らずの動向を注視しつつ、適切なタイミングで親知らずの抜歯を検討していく事で回避できる病態になります。このような病態が起こってからでは治療が複雑になるばかりか、大切な第二大臼歯(12歳臼歯)を抜歯さざる負えない状況がでてきてしまうので非常に残念に思います。

このように親知らずの影響は多岐に渡り、親知らずの抜歯のみでは解決できない病態も含まれますので、親知らずを幼少期から管理マネージメントを行う事が重要になってきます。

以下の症例は早期に対応できた為、第二大臼歯の萌出障害を解除する事ができ、正常な咬合関係に導く事ができた症例になります。

初診時の年齢は13歳になります。

第二大臼歯の萌出障害を主訴に受診されました。パノラマX線検査を行いますと、第二大臼歯の後方に親知らずが乗りかかっている為に萌出障害を来している事が判明しました(親亀子亀の状態)。このまま放置すると状況は悪化していくと考えられた為、親知らずの抜歯を行う事とし、両側親知らずの抜歯を施行した所、第二大臼歯の萌出方向は自然に改善し、正常な咬合関係へと導く事ができました。もう少し遅ければ第二大臼歯を起こしてあげるために矯正治療が必要になった可能性が高かったと思われます。このように親知らずによる悪影響を早期に発見し対処する事で、治療が複雑になることなく高額な矯正治療費も必要ではなくなりますので、幼少期から親知らずの動向を注視してマネージメントする事が非常に大切です。

西明石駅と大久保駅の中間地点にある歯医者「のむらファミリー歯科」ではこのような症例をたくさん経験た親知らずの抜歯が得意な口腔外科認定医が在籍しておりますので安心してご相談頂ければと思います。