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親知らずの抜歯の判断基準はあるのか?と親知らず抜歯に伴う合併症について明石の歯医者が詳しく解説します。

 親知らずの抜歯の判断基準はあるのか?という疑問を持たれている方も多いと思います。

 実際には親知らずの抜歯の判断基準を明確に示した指針はないのが現状です。

 一般開業医は臨床上、親知らずの抜歯の必要性について迷う事が多く、智歯による弊害が起きてから抜歯を選択する事が多いのが現状です。それは親知らずの抜歯に伴う合併症の問題があるからです。

 親知らずの抜歯に伴う合併症には、術後腫脹・術後疼痛・術後出血・抜歯後感染・オトガイ知覚鈍麻・皮下気腫などがあります。そのため、このようなリスクを越える有益性があると判断されて初めて親知らずの抜歯の決断に至る事が多いと思われます。特にオトガイ知覚鈍麻については術者の技術面による所も多く、知覚鈍麻が出現すると回復までに時間がかかる事もありますし、最終的には症状が残る事もあるので注意が必要です。

 それでは親知らず抜歯に伴う合併症に頻度は文献的に調べてみますと、オトガイ知覚鈍麻、ドライソケット、術後感染、気腫などをすべて含めると8.2%になります。それぞれの合併症についてもう少し詳しく説明していきます。

 まず、術後腫脹についてですが、下顎親知らずについてはほとんどの場合出現致します。人間の組織反応で出現しますので、個人差は大きく、どれぐらい腫れるかという事を術前に想定するのは難しい面があります。一般的な経過としては術後2~3日目が腫れのピークで1週間程度で落ち着いてくるのが一般的な経過になります。

 次に、親知らず抜歯後の感染というものがあります。これは術後すぐ起こるわけではなく、抜歯後2~3週間程度経ってから現れる事が多いです。抜歯後感染が起きやすいケースは、親知らずが奥深くに埋まっている場合でよく見られます。もう一つは年齢が上がるにつれて抜歯後感染が多いというデータがあります。

 次に、親知らず抜歯に一番注意が必要なオトガイ知覚鈍麻についてですが、長崎大学の報告によると20歳代の若年者で1.3%、60歳以上では4.76%に出現します。もし、オトガイ知覚鈍麻が出現した場合はビタミンB12製剤などを投与して経過観察する事が一般的です。

 最後に親知らず抜歯後の皮下気腫について解説します。これは抜歯時に使用する切削回転器具(エアータービン)の使用により組織間隙に空気が入り込む現象を皮下気腫と言われています。まれな合併症ではありますが、出現した場合は感染制御しながら経過観察を行います。

 このように親知らずの合併症は多く存在するので、抜歯に対して二の足を踏む方も多いと思いますが、その一方で親知らずの弊害によりひどい感染症(蜂窩織炎)を来したり、第二大臼歯(親知らずの手前の歯)のう蝕の形成や萌出不全、歯根吸収を来すケースも多くみられます。咬合にとって大切な第二大臼歯を守るためにも適切な時期に親知らずの抜歯を検討する事が大切になります。

  親知らずの抜歯に伴う合併症についても若年者の方が発症率が少ない事を考えると、幼少期からレントゲンを撮影し、早期から親知らずを管理し、適切な時期に親知らずの抜歯を検討する事で、親知らずによる弊害を予防し、抜歯後の合併症を減らすことができます。後悔する前に早めに西明石と大久保駅の中間地点にあります歯医者「のむらファミリー歯科」にご相談ください。